山陽新聞 折込チラシ 大量廃棄被害者一覧表

大手メディアの間で長年タブーとされてきた新聞社
各社による"押し紙"問題。6月に「週刊新潮」が
報じたのを皮切りに、そのタブーが破られ始めた。
広告収入も減る一方の新聞社にはまさに泣きっ
面に蜂のこの事態、新聞総倒れの契機となるかも
しれず──。

いま、こういう噂が流れている──新聞に全面
広告を頻繁に出している大手メーカーが、広告
代理店に強硬な質問状を送りつけてきた。それ
はこういう内容だった。

「本当に押し紙というのは存在するのか。もし
本当に存在するのであれば、これまで我々が
支払ってきた広告料金は、過剰請求ということ
になるのではないか。これは詐欺と呼んでも差
し支えない事態であり、場合によっては訴訟も
辞さない」

海外メディアも注目する株主たちへの影響

 新聞広告に関していえば、もう何年も前から「新聞に出稿しても、ほとんど効果がない」といわれるようにな
ってきている。購読者層がどんどん高年齢化し、購買力が落ちてきているからだ。それでも、大手クライアン
トの宣伝部と大手広告代理店、そして新聞社の広告局という3者は長年にわたってがっちりと強固なトライア
ングルを作り上げ、そこで人間関係も構築してきた。昨日まで仲良くしていた新聞社に対して、急に「これか
らは、もう新聞広告はやめます」とは言いにくい。

 ところが昨年のリーマンショックに端を発した不況は、この無敵のトライアングルを崩壊させつつある。リーマ
ンショックを口実に、多くのクライアントが「100年に一度の不況だから、新聞広告はもうちょっと無理ですよ」
と通告するケースが目立って増えてきているのだ。新聞社の側も「まあ100年に一度ですからね。我慢するし
かないですね」と広告出稿の手控えを受諾せざるを得ない。しかし実のところ、仮に景気が回復したとして
も、広告が新聞に戻ってくる保証は何もない。ある大手日用品メーカーのブランドマネージャーはこう言う。

「マスメディア広告に関しては、以前より影響力が減ったとはいえ、テレビの力はまだ大きい。特に、インターネ
ットをあまり利用しない地方の消費者や高齢者へのリーチにはテレビは必要だ。だから今後広告は、テレビと
インターネットの二本柱になっていくんじゃないか。それ以外の、媒体力のない新聞とかラジオとか雑誌は、も
う不要だ」

 これが実態なのだ。そしてこういう新聞広告をめぐるひどい状況に追い打ちをかけるように、いよいよ押し紙
問題が急浮上し始めた。これは、新聞の広告にとどめを刺すことになるかもしれない。